1950年7月15日生まれ、山梨県出身。
1969年に高校を卒業と同時に極真空手に入門。
1971年に初出場の第三回全日本大会で3位に入賞する。
切れ味鋭い上段廻し蹴りは”妖刀村正”の異名を取る。
1972年に極真会館に内弟子入りのあと、 ヒザの故障で
2年のブランクを経て1974年の第六回全日本大会に出場。
練習中の負傷を抱えたままでありながら、準々決勝まで
足技だけで一本勝ちを収め、6位に入賞。
翌年の第一回世界大会にも出場し、4位に入賞。
その後選手を引退し、山梨県支部長に就任。
静岡県支部長も兼任し、大山総裁の没後は、分裂した
極真会館(支部長協議会派・現新極真会)に属する。
1998年には70人組み手を完遂。
2001年に同組織を離れて全日本極真連合会を発足させ、
主席師範の任に就く。
2003年1月に日本文化振興会より「社会文化功労賞」を
授与される。

現在は極真会館 「世界総極真」大石道場範士。
現在100以上の道場を有し、門下生は3000人を越える。

 



九段位をもらってしまった。どうしようかと思う程、
その重さと責任を感じる。
九段位を名乗っている人達は、
日本や海外の団体のトップなど、少なくない。
そして、その多くはあまり良くない噂や
評判が耳に入ってくる。
私もそう思われてしまうのかと思うと、
何とも言えない気持になるが、
私は私である。人の評価は人に任せればよい。
気にしても何にもならない。そこに、自分の気持が
一時でも裂かれるだけ時間の無駄である。

禅という文字がある。
一つを示すと書いて、禅である。自分という人間は、
この世界で宇宙でただ一つの存在で、
唯一無二なのである。他と比べるものではない。
自己を磨き、精進する事のみを念頭に入れて、
自分の道を歩き、切り開いていく事である。
コツコツと努力を積み重ねる事である。
どこで誰と稽古をしても、どこで誰と会っても、私は
極真空手の師範ですと、心の底から言える事である。

自分の体は極真空手の通り道である。
だから、心にも体にも決してアカやホコリを
ためない事である。
そして、コツコツと稽古する事。
小さな努力の積み重ねが、大きな力になる。
決して自分を特別な人間と思わない事。
普通の人間がこんな所に来てしまったという事を
忘れない事。だから人より努力しなければならない。

今の日常の生活を決して変えない事。
段位の価値を決して失墜させない事。
「初心」。常にここに戻る事。

「毎日、毎日、これが最後と思って
生きていくうちには、何ものかが蓄積されて、
一瞬一瞬、一日一日の過去の蓄積が、
もののご用に役に立つ時がくるのである」。

40年位前に読んだ、「葉隠」の一節である。
第1回世界大会の時の稽古に対する心構えとして、
日記に書き心に刻んでいた。
そして、今の方がこの言葉の重さを感じる。

人は、自分の為のみにする努力は、
大した事は出来ないが、
自分に与えられた使命と職責、自分を信じてくれる
人達の為なら、驚く様な努力が出来るのである。
そういう人達や使命と巡り会うには、
その人の歩いてきた道のりが大切であると思う。
この年令になって、こういう日記が書ける事に、
感謝と幸せを感じなければならない。

(平成26年11月26日 稽古日記より)